ミヒャエル・クプファーさんのリサイタル

ワーグナーのオペラなどで活躍中のクプファーさんが来日されて「冬の旅」をお歌いになります。まだまだ寒いですからこれを歌うには良い時季かもしれません。名曲中の名曲ですね。

シューベルトの「水車小屋」もそうですが題材はあくまでも失恋話での自暴自棄、でも現実に置き換えて想像すると、相手の女性は大した人物ではないのではないか?そんな感じもするのですよ。主人公たちはピュアな心を持っているのでしょうが、一種の精神病です。思い悩み方が尋常ではありません。演奏する方も様々な情景描写や心の動きのほかに、独特のストレスの世界を描いていくことになります。

歌手は当然深く暗いテンションを保ちながら、ドラマティックな心の葛藤を歌っていくのですが、何と言ってもこの長さ!芸術的な深遠さも感じさせますが、苦行を見るような思いもあります。その苦行が主人公とやがて重なり合ってくるのが、この曲を演奏する醍醐味でしょう。つらい旅の末、後半は幻影を見るようになってしまった主人公が、最後に辻音楽師の老人を見つけた時の安堵感のようなものは、演奏していても最終曲の前奏の第1音で感じることが出来ます。そしてこの老人が現実のものなのか幻なのか(現実のものならば旅の伴侶として旅が続く、幻ならば死神との出会いのようなもので死を暗示する)、その設定がこの曲の解釈を決めてゆきます。今回はどんな感じになるのでしょうか?とても楽しみです。
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by masa-hilton | 2010-03-02 11:47 | コンサート・イヴェント告知
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