永井荷風先生の浅草の「尾張屋」へ

何となく自由人ということが重なるらしく「永井荷風先生のようだ」と言われることが多くなってきたが、それだけ爺さんになったということやもしれぬ。むむむ。その荷風先生はいつも決まった店で決まったものを食べるという外食生活を続けておられた。その点では私とは共通点があり、実はちょっと憧れの気持がある。

荷風先生は浅草の「尾張屋」で「かしわ蕎麦」を食べるのが日常だったという。どんな暑い夏であろうとそれは変わらなかったらしく、頑固と言うかその姿勢は見事。私は「かしわ蕎麦」はちょっと(笑)。毎回おなじみだが食べるとすれば「もり(ざる)」「たぬき」「かきたまうどん」「にしん蕎麦」「天丼」、気が向いて「かつ丼」だ。特に「もり」と「天丼」は思い入れが強い。先日以来「葵丸進」の「大海老天丼」に凝ってしまったけれど、「尾張屋」の「天丼」や「天麩羅蕎麦」も大きな海老で有名なのである。

それにしても建設中のスカイツリー、確かに未来都市のような感じがする。写真になると安っぽく怪獣映画に壊される未来都市のようでおかしい。でも浅草はやはり江戸の風味が残る町として永遠だろう。この「尾張屋」もそんな文化的な場所だと思う。荷風先生の行っていた本店は雷門と言っても、田原町寄り。ハンバーグの「モンブラン」とかのそばにある。ここが割と閉まっていることが多いし、駅に近いと言えばずっと便利なので、支店に行く人も多い。

a0041150_5483398.jpga0041150_5485037.jpga0041150_549372.jpg

「尾張屋」の「もりそば」は私としては中野の「さらしな」銀座の「田中屋」に並んで好きなタイプのものだった。ツユの味が良い。いわゆる江戸前の濃いお味なのだが、けっして辛くなく麺に対する触りもなめらかだ。そしてとても「普通」なのである。「普通」なのだけれど昔食べたスタンダードのような、そういう懐かしいお味で私には響いた。値段も普通であることもありがたい。そんなせいか、庶民の店としての味わいがあちらこちらに薫る。これも良い感じだ。天丼はかなりの「大海老」天丼なのだが、並が「クマ海老」、上が「車海老」ということで種類の差があるだけで大きさは変わらないらしい。私は「並」しか食べたことがない(笑)。だって「並天丼」と「もりそば」の組合せだと2000円でキリが良いんだもん(笑)。「葵丸進」に比べれば太さがやや細い?かな。それと比べなければ十分に満足できる海老の大きさ、そしてバランスの良いタレとの組み合わせの美味しい天丼だ。例によって浅草の衣の厚い天丼だがもたれない。蕎麦屋の天丼としてのギトギト感は少ないし、何よりも仕事がきれいな感じがするね。そのうち「上」も戴こう!

人形町でお蕎麦を食べようすると「花乃蕎麦」かなあ?という所だが、最近はなんかムラがあってちょっと気分的にパスになってしまった。もちろん「東嶋屋」にも美味しいものがあるけれどね、浅草まで出てきて蕎麦を食べるというのは、荷風先生に習って「人生の粋」を感じる日常的な行事になってきた。
by masa-hilton | 2010-07-30 05:54 | 趣味&グルメ
<< 福山音楽祭の青少年のためのオー... 御徒町の絶品洋食!「さくらい」に行く >>