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福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査

コンクールの季節である。毎年何回か審査を頼まれているけれど、年々、ピアノを弾く若い人を見るたびに、これからの人生の大変さを考えて重い気持ちになる。

ピアノを弾いてコンクールに出ようっということは「ピアニストになりたい」という気持ちに他ならない。私たちの時代では自分の実力を考えて、気軽にリサイタルやCD録音などご法度であった。今は自由だから、お金さえあればいくらでも活動ができるし、音大に入る必要もないくらいだ。自称ピアニストで良ければ、明日からでもどうぞということだ。でもいったい何のために弾くのだろう?求められていないのに弾くのも空しいだろうし、求められたとしても何の意味や意義があるのかを考えたら、全く無用の人生だと気づき愕然とするかもしれない。音楽につつまれる人生の価値が分からずして、この道に気軽に踏み込んではいけないと思う。食べていくのも難しい世界なのだから。

ピアノの先生たちの「メシの種」のような意味のないコンクールは、ただ不幸な子どもたちを増殖させるだけである。企画するだけで地獄行きに値するほどの罪悪と知るべきだ。でも同時に「舞台で弾く」経験を積むという意味では、コンクールのようなものは不可欠かもしれない。ピアニストが仕事となれば、さまざまな悪条件でも弾ききれる底力が求められる。何事も本人次第。強い志を持ってのぞめば、たとえ結果がどうでも、すべてが有益になる。出る以上は「人生をかけた戦い」である。そこに立ち会うのは、やはり気が重くなるよね。

福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_2315226.jpg今回のオーディションは「福山音楽祭」ということで、福山と広島の2か所で行われた。オーディションとしてきちんとした意義があり、コンサートの出演などが約束されているものだ。普通のコンクールより門戸が広いし、やはり演奏の場を提供されるということは、我々の人生の基本であるから、こうした企画には積極的にトライすべきであると思うね。今後もぜひ続いてほしい企画である。審査は南弘明先生と杉谷昭子さんだ。今回は合間の時間にいろいろお話できて、それも楽しかった。最初はオカルト趣味なのかと思ったのだが(失礼!笑)、杉谷さんがいつもぬいぐるみを同伴されている理由も直接お聞きすることが出来た。とても心温まるエピソードでちょっと安心。

この日は朝早く8時台の飛行機で広島入り。人形町からはタクシーで高速を飛ばせば15分ぐらいだから何ということはない。広島のほうがやや涼しかった。車で福山に向かい審査を済ませ、広島での宿泊ということになった。ホテルから「原爆ドーム」がよく見える。広島は何度も行っているけれど、原爆ドームに行ったのは1度だけ。やはり衝撃を受けたのを覚えている。我々の幸せが多くの人たちの犠牲の上にあることを、絶対忘れてはいけない。

夜は主催の森山さん行きつけのスペイン料理で、南先生とも楽しいお食事。南先生は私が学生であったときから教授でいらしたので、大先輩であり大先生であるのだけれど、色々音楽に対しての面白いお話や、お住まいのある離島での生活を伺ってとても楽しかった。

出かけたのは広島テレビの前にあるスペイン料理の「IDEMOTO」。地方での名店には東京では通用しないようなところが多いのだが、ここはまず第一に趣味が良い。東京でも十分通用する洒落た店だ。

福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_232715.jpg福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_2321931.jpg福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_2393299.jpg
福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_2423116.jpg福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_2424312.jpgメニューの並びを見ても、味の感じからしてもワインのつまみ系のものが主流のタイプだけれど、きちんと味がうまく整えられていて一本調子になることなく、ちゃんと最後は「ステーキ」まで用意されて、食事としても充足感があるのが良いね。

「タコのガーリック焼」はエスカルゴの代用品なのだけれども、タコ自体の旨さがあるので不満を感じさせない。「ムール貝のオイル焼」も、風味を殺さないで癖のある香りを巧く中和させて食べやすい。メニューにない特製のサラダやガーリックを利かせてぺペロンチーノ風味にした魚介類のパスタなど、どれも大変美味しかった。時季じゃないのでメニューになかったが、ブルーチーズを使った牡蠣のお料理とかも旨いらしい。地方に行って美味しい店を選ぶとき、テレビ局のそばにあって何年かちゃんと営業できているお店はほぼ間違いがない。ここもそうだ。

福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_2454215.jpg実はこのほかにも「あさりのワイン蒸し」等々、もっと戴いていたのだが、夜中になったら小腹がすいてしまって(笑)市内を徘徊してしまった。実はホテルのそばに広島で人気ナンバーワンのラーメン屋があったということなのだが、それは気がつかなかった(笑)。「ラーメン」は好きなわけではないから、出来れば「お好み焼」を食べようと表に出たのだ。

コンビニで寝る前に戴くコーヒーを買いながらの物色。赤ちょうちんで目立っていたのは「まるさ商店」。良く見るとラーメン屋、でもちゃんとお料理も出来るほうの「ラーメン屋」だ。何と290円とか390円とかの値段のメニューが並んでいる。ちょっと怪しいね(笑)。そう言えば赤い派手な看板も「マルサ」という名前も十分に怪しい。後で知ったのだが、やはりB級グルメの店には間違いないのだが「餃子」や「天津丼」などが美味しい、実は知る人ぞ知る旨い店だったようだ。今回は当たりだった。

私は夜中の定番の1つ「冷やし中華」、何と390円を注文。とても安いけど、たまたまサービスデーだったのかもしれないね。具もいっぱいでフレッシュ!値段とは見合わないすばらしいさじゃない?ただ真っ赤な感じだったので「激安」ばかりでなく「激辛」かと心配したが、かかっていたのは唐辛子ではなく大丈夫だった(笑)。麺の感じもツルツル美味しいし、スープも個性があって甘辛く、とても良い感じだ。大満足してしまった(笑)。

翌日は県民ホールで審査。上手な人が多かったね。油断していてまた扇子をなくして「そごう」で調達。とても良いものが買えて良かった。最終のJALで帰ってくると東京も涼しくなっていた。空港で近辺で食事をしようかと思ったが、人形町に直行!15分だし。


福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_343716.jpg福山音楽祭の青少年のためのオーディションの審査_a0041150_345022.jpgやはりかなり疲れていたしおなかもすいていた(笑)ので、お気に入りの「イル・バンボリーノ」に行って、いつもの「リガトーニ、トリッパとギャラを使ったトマトソース」を野獣のように戴く。ここは割と遅くまでやっていてくれるから、とても助かるよね。

そして以前から気になっていた「羊肉のロースト」を戴く。これも旨いね~!そして凄いボリュームだ!この肉の厚さに大満足!これはメニューのマスタードソースで戴くより、ポルトソースがお勧めかも。特にせっかくの美味しい付け合わせの野菜が、ポルトソースのほうが合うかもしれないから。でもこの肉は最高だね。鴨も美味しいけど羊もとってもGOOD!

人間ってしょうがないね~すぐおなかいっぱいになって眠くなってしまうし(笑)。
by masa-hilton | 2010-07-31 03:12 | 日々の出来事
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