自分の居場所

人形町では恒例の「人形市」も終了。これが何となく盛り上がりに欠いている印象だ。ちょっと小汚いし(笑)、その割にはお値段は高いし、個性的な人形や「念を持つような」表情は見当たらない。ヨーロッパの昔の街並みの路地なら、おじいさんが屋台で売っているのが怪しい風情で良い。でもそんな風景、映画以外で出会ったこともないし(笑)。赤ちょうちんの人形町で、それも露店に並ばせられてドールたちもちょっとかわいそうだ。人形は少し凝った、そして古めかしい雰囲気が漂うお店で買うのが良い。そんなイメージだ。

a0041150_17585497.jpg話は変わるけれど、どうしても「ヒレカツ」が食べたくなって(笑)、それも「宇田川」のヒレカツが食べたくなって行ってきた。ここのところご無沙汰でよそのお店で戴くことが多かったが、やはり「宇田川」のヒレカツは旨い!全然違うね~!最高だ。私の子供のころからの「美味しいヒレカツ」のイメージにピッタリなのである。これはとてもいい加減なことではあるのだけれど、とても重要なことでもあって、売り手の立場となったら厄介なことだ。ともあれ大満足だったが、もう1つ「宇田川のヒレカツを食べたい」という欲求に対するイメージとも一致していたことが重要なポイントである。「あのお店のアレ」とか「あのピアニストのアノ曲」とか、こちらのイメージしていた通りのものが出てくると嬉しい。それがイメージできるほど個性的だというのは、非常に価値のあることだから。

最近は、日常生活というのは「低刺激」の時代だと言える。先日もある若いピアニストのアンサンブルを聴いたのだが、何とも涼やかでお洒落でハイセンス、完成度も高く頭も良さそうな見事な演奏。しかしそこには感情とか感動とかの、うごめくような濃厚な主張や表現は皆無で、果たして自分の人生の時間を割いて、これを聴く価値があるのかしら?という、絶望的な気持ちにさせられた。私たちのような種族にとっては、このような音楽は時間の無駄としか思えない。

現代人の生活自体がとても機能的で、この演奏のように一種清涼な時間の中にあるのかもしれない。そこで広く読まれる小説や映画には、倒錯的な愛や変質的なまでに審美的な世界のものが好まれたり、オタクのような微細な「こだわり」に固執していく状況が生まれるのかもしれないと思った。これらのものは古い世代には忌嫌われたりしていた感覚だが、少なくとも私自身の場合は日常生活が刺激的であるので、このような世界には興味すらわかない。実生活のほうがはるかに刺激的で面白いのである。同時にドロドロとした毒もあり(笑)、こんな私たちのような生臭い人間とは付き合えない人が実際は増えているはずであろう。でも彼らは表面の摩擦は好まず、きっとニコニコ笑ってスルーさせているのである。こちらはこちらで「きっと諸々つまらないのでは?」と内心思っている(笑)。人間は「禁断の木の実」を食べてナンボの動物だと信じているからだ。

そして趣味趣向やイメージによって、個人的な行動が限定されていく。好みの人や好みのお店がすることだったら、なんでもOK!という人もいるが、私はだめだ。だからレストランの場合、いつも同じ好きなメニューを食べるようなことになってしまうのだが、定番に至るまで色々試すのは好きだ。先日お気に入りの「シェ・アンドレ・ドゥ・サクレクーレ」のお昼の「じゃがいものグラタン」は失敗。もちろんこれは私個人の好みの問題で、これが大好きな人もいらっしゃると思う。イメージ的にスライスしたジャガイモにチーズがかかったようなものを連想していたが、ジャガイモが形を残さずザラザラとした感触の、マッシュポテトのグラタン風だったので私にはアウト。でもこのお店は家族的な温かみがあって良い。「おばあさんのスープ」も最近私には薄めに感じる。だんだん薄くなってきたような気もするのだけれど(笑)気のせいかな。ちょうどパンにつけて戴くオリーブオイルがあるので、それを少々入れると実は美味しくなるのだ。これは管理人さんのアイデアの「チョイ足しグルメ」。格段に風味が豊かになるので、ぜひお試しあれ!「田舎風テリーヌ」なんかは割とお肉がワイルドな感じで濃厚、こういうのは好きなんだけどな~。色々と戴いているのだが、実はまだ定番を決めかねているお店である。

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そのあと銀座の「オー・バカナル」で戴いた「ラタトゥイユのグラタン」が私のイメージとピタリ合っていたものが出てきた。だからと言ってお味は普通だったな(笑)。有名店だが私にとってはやや期待はずれなことが多い店なのである。パンが美味しいという「オー・バカナル」だが美味しかったのは「パイ生地」のものだけであとは平凡。昔はフランス人の利用頻度の一番高いお店として有名だったが、最近はここで食べることの意味すら感じられない。もちろん悪いわけではなく、むしろこの平凡で普通だからこそ、低刺激が心地良いという人たちに好まれていくのだとも思う。お店自体はお洒落な空間だ。大体が「塩味」主体の薄味レストランとかも意味がわからない(笑)。このブログをご覧のかたはよくご存じだと思うが(笑)素材よりも調理された味を楽しみたいほうだ。ちなみにこちらでも「田舎風のテリーヌ」を戴く。これは美味しいね。美味しいというか懐かしい味だ。若いころステファンスカ先生のおうちで戴いていた、あのお味である。

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私にとっては個性的なものが絶対に楽しい。個性的すぎて不味いのはもちろんアウト(笑)だし、個性的と言いつつ実は未熟だったり衰えてきていたりで、特殊になっているのはきちんと見分けている。もちろん私に限らず、全ての人がそれぞれの感覚できちんと咀嚼して判別している。それが正しいかどうかも諸説紛々賛否両論、でも個人個人にとってはとても重要なこととなる。つまり他人の言うことは「あてにならない」ということなのだ。

私の大好きなボロネーゼ!というよりは「スパゲッティ・ミートソース」と言うべきか。これを心から美味しい!と思う人は世の中にどのくらいいるのかな~(笑)?お店の人でさえ「うちのは変わってますからね・・・」と(笑)こんなに個性的で美味しいのに、あまりオススメではないような風情すらある。とにかくこの「洋風ソース焼きそば」のようなミートソースが大好きだ。今回は「海老フライ」をサイドに。これも1000円強なんだから何の文句もない。ここは日本橋公会堂の前の「日勝亭」。以前にも書いた通りに摩訶不思議「ヴォルガ・ライス」も「ポークソテー・ハワイアン」も楽しい。

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私の大好物の鰻だって食べられない人がいる。私は毎日でも良いというのにね。お互いに「信じられない」と心で呟いているわけだ(笑)。最近「大和田」さんは大人気だね。ものすごく混んでしまって、メニューの取り違いや忘れもあって心配しちゃうけれど、女将さんのキャラクターはそんなことは何のそので許せちゃう。これも不思議なもので、わずかなミスでも許せないような店があったりする。結局、基本的に人は自分の居場所を探しているということに尽きる。相変わらず濃厚な「鰻」は美味しかった。
by masa-hilton | 2010-10-19 19:40 | 日々の出来事
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