中国の選手が日本の国歌がむかつくと言ったとか。不敬の極みというか、さすがにこれは人間として「お里が知れる」発言であると言わざるを得ません。個人の性格と言うより教育の問題でしょうけど。ただ国歌に対しては日本の中でも、学校の先生が反対して起立しないとかありましたね。政治的な思想の自由とは言え、反対を唱えるにしても、人間は「敬意を持てる」動物なのだから・・・・ね。
純粋に音楽的に見ると「君が代」という曲は、雅楽の「イチコツ」調であり、ヨーロッパ音楽ではない文化を感じさせる個性的な国歌で、よろしいと思うのです。これが思想的な問題や古い?という理由で、もし新しい曲になるとすると、歌いやすいとか安易な共感で「千の風」のような趣の曲になってしまいそうでしょう?これは別の意味で納得がいかないというか、残念な気がするのです・・・・この先どうなるか不安です。 ついでに言うと、古い人間なんでしょうか?「仰げば尊し」は好きかもしれません。まず、良い曲ですよね。2番が立身出世を促していて民主主義的ではないとかいう理由で、最近は避けられていると。考え過ぎのように思いますよね~大体外国からの伝承曲なんだし。そもそも若い時に「がんばって偉くなれ!」とハッパかけらずにどうなるんかな?とか思ったら、これがパワハラになるかもしれない(笑)。・・・・世も末だと思っちゃいけない(笑)、「大きなお世話」はしちゃいけない。右翼でも左翼でもないし、無神論者なのでこだわりはないけど。 ただ、こんな難しいことがいっぱいあって、人間関係はうまくいくのか?心配ですね。私はしつこいしあきらめないし(笑)、嫌われたら仕方がないけど、さらにあきらめず誠意と好意はちゃんと示すスタンスなので、まあ友達も多いし幸せなほうですね。親切を無にしたり失礼なことをする奴には(笑)、私のコレクションの呪いのビスクドール達が、ちゃんと祟って片づけてくれますから(笑)、世の中うまくしたものです(冗談ですよ)。 ところがここ3日間頭痛が続いていたので、いよいよこちらに呪いが回ってきたか(笑)とうんざりしていました。頭が痛いのに、そんなときに限って音楽を聴いちゃったりするんですよね。悪化しちゃう!でも好きなものはスゴイ!見事に頭痛を吹き飛ばします。 最近はCD・BOXで往年の名演奏がメチャ安で買えるんですが、私が長年CDで探していた音源を、物凄くありふれたBOXで手に入れることが出来ました。多分、ここまで感激しているのは私だけかもしれません。でも私は天にも昇る快楽を手に入れた気分です。 BOXは1300円で買えるラヴェルの主だった曲を網羅したもの。ラヴェルの自作自演など古い録音が主体です。フルトヴェングラーの「スペイン狂詩曲」なども入っていて、ちょっと個性的な内容になっているとも言えます。かと思えばアンゲルブレシュトの「ダフニスとクロエ」などは超シブいセレクション、B=ミケランジェリの協奏曲、ギーゼキングの弾くピアノ曲、アンセルメの素敵な「子供と魔法」などの定番、こうした名演が気軽に手に入るのは良いことですね。 私の欲しかった音源は、ラヴェルの弦楽四重奏曲のカルヴェ弦楽四重奏団の演奏。これです!実はこれは昔から名演と言われていますので、何回もリリースされているのですが出遅れて、気がつくと取引中止になっていました。 教育者としてもソリストとしても名高いジョセフ・カルヴェ率いるこのカルテットの魅力を最初に知ったのは、ロベール・カザドゥシュとの共演のフォーレのピアノ四重奏曲第1番の歴史的名演です。これは本当に素晴らしい!もちろん1930年代ぐらいの録音ですけど、ここから官能的な魅力を感じ取れなかったら、もう音楽聴くのやめたほうがいい。セピア色の古い写真を針で刺したら、そこから赤い血が流れてくるような、死者が体温を感じさせるような、永遠不滅の命を感じる演奏です。端的に言えば第2楽章の妖しく気品高い美しさ、これこそフォーレ。こんな響きは当時のどのカルテットからも感じられません。 この時代のカルテットでは、日本では最近までカペー弦楽四重奏団の演奏がベストとされて来ました。カペーは弓の使い方やベートーヴェンの解釈本もあり、当時としては革新的な演奏家ではあったものの、演奏スタイルはさらにその前時代、ロマン派時代の影響が色濃く、その意味では音楽史的な価値は今でも高いと思われます。 ほとんどが死の年の録音であるというのが、どういう影響があるか、それもわかりませんね。もしかしたら録音時間の問題でなのか、特徴である情熱的なスタイリッシュな曲運びもまた、音楽後進国の当時の日本人(特に評論家)にとっては、さらに目からウロコだったかもしれません。が、お国ものゆえか鋭角的な表現の少ないラヴェルに関しては、今現在の私たちにはかなり辛いものがあります。ポルタメントの多用も音楽の流れも寸断してしまうほどのもので、ラヴェルの生きている時代を共にした演奏家ではあっても、これは「ピアノにおけるフランス派」の成り立ちを考えても(前回の秘蔵映像などをご覧ください)、かなりの違和感があると思います。 逆にカペーのフランクなどが良い演奏なのは、フランク自体がワーグナーの流れを受けた音楽であることが一因しており、前時代的なロマン主義の曲の分析解釈が明快なことを証明しています。フランクについては充分に名演ですが、この演奏がシャンピではなくコルトーが弾いていたら、もっと世に言う決定的な名演になっていたと信じてやみません。 カルヴェのほうはカペーとは違いもっと微細なニュアンス、フランス派のピアニズムとかなり共通する「香り」が何とも魅惑的なのです。ラヴェルの第一楽章でやる独特な一拍目に重みのあるルバート。この意味合いはともかく、これがアンサンブルの乱れなく人為的ではなく自然な呼吸で弾かれるのに、まずは驚きます。例えばセンティメンタルな哀感ある旋律も、「フランス物はサラッと(笑)」いう流れでありながら、動きも感情も起伏がある演奏で、そこに「アンティークな響き」がロマンも感じさせてくれて、私はやられた~~(笑)。買って良かった! 何となく他の「序奏とアレグロ」などのアンサンブルを聴くと、フニャフニャ感もあって、そこが決定的な評価が得られないところかもですが、またまた前回の秘蔵映像の中にカルヴェのまさにラヴェルのカルテットを発見!!私がやられた「音楽の粋」の全てを見て、体験した次第。現代にも十分通じる感覚と、伝統の価値の重さに感動です。 ヴィオラのパスカルはパスカル弦楽四重奏団のパスカル父ですし、カルヴェが亡くなられたのが80年代ですから、流れは生きています。私も共演させて戴いたヴィア・ノヴァ弦楽四重奏団もまたその門下。日本人が予想もしえない色々な解釈を教えて戴きました。やはり室内楽の共演は財産ですね。 ところでカルヴェのスタイルは、現在だとイザイ弦楽四重奏団辺りに継承されているのでしょうか?ラヴェルの弦楽四重奏と言えば、アルバン・ベルクやカルミナ・カルテットの演奏が定番だよと教えてもらいましたが、両方とも、特にカルミナ・カルテットなどは上手すぎちゃって「あざとい」感じもするような・・・・音楽ってなんて難しいんでしょうね(笑)。
by masa-hilton
| 2014-09-26 11:45
| 休日は怒涛の鑑賞
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