特級二次の審査

コンチェルト部門の大阪地区に続き、今度は特級の二次の審査、ピティナから頼まれて行ってきました。特級はピティナでは最上位、一番上手な人たちの組の審査ですけど、そんじょそこらの上手ではありません(笑)。本当にびっくりするぐらい弾ける人たちの集まりです。普段なら間違えたとか、まとまっていないとか、目に見える欠点があって減点していけるわけですが、ここはそれこそ一流ピアニスト並みに上手な人たちから、何人かを選ぶというわけなので、これはガチンコの二日間。

弾けてない人など1人もいないし、みんなそれぞれに素晴らしい。めったに聴けないような名演奏のオン・パレードですよ(笑)。だからどこが悪くてどうなのか?という判断は本当に繊細で、シビアなことになります。ここまで頑張っているのだからこそ!私などは逆に厳しい講評を書いていますが、そこを改善すればおそらく欠点もなくなるだろう!ぐらいのものです。命をかけている彼らにはお世辞を言うのはむしろ失礼だし、アドバイスを厳しくされて逆切れするような頭の悪い不心得者には、あれだけの演奏はできません。あそこまで弾けるためには、どれだけのことを犠牲にして、人生をピアノにかけているのか!ホントに全員に賞をあげたいです!!厳しいね~、むなしいとも言える。

審査内容は「24人のうちから7人選ぶ。別に奨励賞あり。合格点は8.5点が目安」ということでしたので、私はいつものイエス・ノー採点法で、9.3を7人(もしかすると9.3が6人で8.9がひとりだったかなあ?忘れちゃった)、8.7が1人(ここまでが合格点)、あとはほとんどに8.0につけました。もちろん演奏にそんなに差があるはずもないのですが、審査員はイエス・ノーをはっきりつけなければならない、それが仕事だと私は思います、責任というか。それに点を離してつけておくと、集計したときに同点などになりにくく、運営もスムーズなのです。これは残酷な仕事だと言えますね。

結果は9.3をつけた人から5人(8.9だったかもしれない人も含む)と、8.7をつけた人が受かったので、7人中6人は私の合格点と一致です。めでたし!で、9.3の残り2人のうち1人が奨励賞、もう1人は落選、逆にダメだと思った人が1人入りました。落選の人の敗因は、やや型にはまった演奏だったのと、弱音の部分でのニュアンスのことなど、さらにスケールも小さい印象を与えたことでしょうか?でも基本的なことは正しくできていたし、ヨーロッパ音楽としての成り立ちはしっかりしていましたから、ここでくじけることはないです。私が合格点をつけてるんだから絶対大丈夫(笑)。奨励賞に終わった人も大変上手でしたが、エレガントさに欠けたのとペダルの扱いがもう少し。今回はペダルなどの扱いのせいで、単調に弾いていた人が多かったのですが、ピアノは音色が命。そこにはペダルだけではなく、レガート、十分に歌うことなども連動しています。左手の表情とかが、右手の流れに無関係に弾かれている人もいらっしゃいました。

ちなみに私の予想と反して通ったその人は、個性的とは評価できないほどに、伝統を逸脱したような演奏でした。なのでこの結果には正直驚きましたね、私と同意見の審査員もお2人ほどいましたが。そんなんですから、当然コメントはかなりきつく書いてしまいました(笑)。でも伝統や基礎は一番大事なことなので、今回は良くても、いつか困ることもあると思うのですよ。その時にこそ、私のコメントを思い出してくだされば良いと思います。

私たちのジャンルは伝統芸能です。例えばあの海老蔵さんだって、公演前はきちんと仁左衛門さんに伝統をチェックしてもらっていて、そのドキュメントをTVで見たとき、同じ「心」を感じてとても感動しました。勘三郎さんが「型破りというのは型をすべて知った上でなければ型破りにはならない。まずはおじいさん達が決めたことをちゃんとやらないと」と常々言われていたことも重いです。

でピアノの話に戻りますが、今回のコンクールのこの人は、とにかく圧倒的な演奏力を持っていましたので、評価されるのも納得、良さもたくさんあります。他の審査員からは「解釈が変なのは百も承知。でも最近はアメリカなどでは、ああいう人が高く評価される傾向があるのだ」とも。ここで私はピティナが「これだけの演奏力を持った人たちを毎年輩出しているのに、その後なかなか、本格的なピアニストに育つ人材が少ないという現状にかなり苦慮しているのでは?」と悟りました。「個性的な人も出してみよう!」・・・私の意見はそうではないですが(笑)それも良いのではないでしょうか?もともと他人事だし(笑)何も文句はありません。何しろ審査会は和気藹々で、とても楽しかったです。
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面白いお話が飛び交っていましたよ。しかし上手な演奏が続くというのも、疲れるものですね。命綱のお弁当は(笑)一日目がこちら。
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二日目はこちら。これは元祖ロケ弁と言われている、有名な「金兵衛」の「お魚屋さんのお弁当」です。夏場だからかもしれないですけど、相当に塩が利いてしょっぱい!1日中審査して、毎日この金兵衛の塩からい弁当食べてたら、脳卒中へアレグロ・アパショナート!間違いないです、ゴーゴーゴー。
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魚は西京漬ですね。つけあわせは微妙!
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暑いから塩は仕方がないか(笑)。審査を終えたら「涼しき我が家」に帰り、癒しの空間の人形町「太田鮨」へ。やはり美味しい。魚の大きさ、厚さ、味わいが最高!やはりお鮨は太田さんだね!「ヒラメ」「カンパチ」などから。
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大きい「赤貝」に「アジ」。
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この何枚重ねかの「シャコ」が旨い!どこもこう出せばよいのに。抜群に旨いです。そしてツメたっぷり!そして「煮はま」もツメ!お江戸のお味、関西人は気絶ものだろうけどね。
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こちらの「アナゴ」は間違いなく日本一。旨い!!
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美味しかった。コンクールの話などもして、盛り上がりました。実は人の演奏聴いてる場合じゃないっすよ(笑)、譜読みして弾かなきゃだ。私は終わりだから良いけど、こうやって毎日人の演奏聴きながら、自分の音楽的なイメージやファンタジーが湧き出てくる状態を守るのって、とても難しそう。先生たちって大変だね。
by masa-hilton | 2016-08-05 02:01 | コンサート・イヴェント告知
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