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最近はDVDでの復刻が多く、こちらにはまっている。面白いのは、実際に弾いてる姿があると、演奏の印象が違うということだ。最近往年のヴァイオリンのものを多く買った。ヴァイオリンに関しては素人なので、言ってることは的外れかもしれないが、音だけだと非常に粋に聴こえるフランチェスカッティは、弾き姿と共に見ると俄然誠実そうなイメージがアップする。超絶技巧で知られて、ややクールな感じにも聴こえるハイフェッツは、軽々とした印象で、その技巧も無理がなく見える。とにかく演奏している音楽の偉大さよりも「本人のスター性」の方が光るタイプで、むしろロマンティックである。逆にダヴィッド・オイストラフは技巧・情熱、重厚さや土臭さが前面にアップされる。また何よりも「厳しい」感じが印象的だ。

演奏を見る_a0041150_10595011.jpgちょっとミーハーだが、オイストラフの弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が昔から好きだった。まず音がいい。官能的な歌があってロマンティックだが知性的で、情緒的でありながらも技術が磨きぬかれてバランスが良い。まさに理想的な感じ!ハイフェッツの弾くチャイコフスキーも、颯爽とした感じでそれはそれでとても好きである。速いテンポのその超絶技巧的エンタテインメントに大満足だが、オイストラフの方は本質的な叙情性の高まりのようなものが感じられる。

今回オイストラフのDVDにチャイコフスキーがはいっていたので、興味深く見たが、映像付で聴くとやはりグッと厳しい感じが増す。それがまたチャイコフスキーの音楽を誇り高いものにし、甘美でもロマンティックではない、染み入るような芸術への愛を感じさせてくれた。やはり音だけ聴くのとはかなり印象がちがう。

ところで弾き姿を見て印象が変わらないのは、アルトゥール・ルービンシュタインであろう。それって、やっぱり凄い!もしかすると得なことなのかもしれない(笑)。人間性と音楽性が一致しているのは、演奏家としては1つの理想だから。
by masa-hilton | 2005-10-01 02:03 | 音楽・雑記
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