ぜひ「来福亭」で、「ビーフステーキ」を

「来福亭」はあの「玉ひで」の隣に並ぶ小さな洋食屋さん。お隣の親子丼目当ての馬鹿げた喧騒が嘘のように、ひっそりとした佇まいが良い。創業明治37年、かなり古びた建物。看板の「西洋料理」という文字がまた趣がある。ここは一言で言うと全てがこじんまりしている。1階はギュウギュウ座っても8人、いや6人が限度だろう。そして出てくる料理もまた小ぶり、その分値段もリーズナブルではあるが。面白かったのは「コロッケ」と「メンチカツ」の差があまりないこと。「ハヤシライス」も我々が想像するものとは別の甘い味。「ハムライス」とかがあるのもアンティークな洋食屋っぽいし、「エビフライ」が時価と書かれているのも何とも可笑しい。

a0041150_21343643.jpga0041150_2139052.jpgここに来たら絶対に「ビーフステーキ」を食べるべきだ。やはりこじんまりで3口で終わる(笑)。焼き方も聞かずに出てくるお肉は、柔らかく味わい深く、一流店のビーフシチューを思い起こさせる。シンプルでもしっかりした味付けは、「びふてき」と平仮名で書いたような歴史や文化をも感じさせる。細かく見ると、つけあわせの刻みキャベツも丁寧な仕事の印象を受ける。こじんまりして2500円、ご飯と味噌汁をつければ2900円というのは高いと思われるかもしれない。さらに絶対に腹いっぱいにはならないわけだし(笑)。しかし価値ある「看板通りの西洋料理」の雰囲気は、よそでは得がたきことなり。超おすすめの逸品だ。

ここの女将はよく雑誌でも取り上げられている人形町の有名人のお一人。かなりご高齢なのかもしれないが、美しいまでの白髪、キリッとしながらも慈愛に溢れていて、何よりも江戸の粋を凛と感じさせる「文化」そのもののような麗しい方だ。最近は「おめえてめえ」言葉とでも言うのか、若い女性が昔のヤクザ、それもかなり頭の悪そうなチンピラが使っていた言葉遣いで話すのをよく耳にする。私は別に気にもしないし咎めもしないが、薄汚れた空気を浄化するに足る微笑みを湛えている「来福亭」とその「びふてき」は、忘れていたものをじっくり思い出させてくれる。
by masa-hilton | 2007-09-28 00:16 | 趣味&グルメ
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