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家田紀子「プッチーニ作品集」CD録音で静岡へ その2

プッチーニの歌曲は割と伴奏は弾きようがないダラっとしたものもあるが、アリアに関してはオーケストラの代用だから、特に音の少ない部分に関してはどういう風に弾いていくか考えどころ。そこのアレンジの仕方にもピアニストの考えや指向性が明確に出るわけで、むしろオーケストラでやるよりも面白いことになるはず。なのに歌の伴奏は味気なく演奏されることが多いし、そこに色を求めない好みの人もいたりで残念。ホントはもっと楽しくファンタジックなジャンルだと思うし、表現の可能性にチャレンジするのは楽しい。あとレコーディングの場合、ピアノには「ある弾き方」があって、それをマスターしているとスイスイ早録りが可能。問題も少なくなる。よくよく考えてみると、ミケランジェリなんかそのあたりの扱いも弾きっぷりも実にうまい!

a0041150_5374046.jpga0041150_5383245.jpg今回のCDは歌曲とアリアを混ぜて17曲。予定は初日に8曲、2日目に5曲、最終日に4曲というものだった。見事にスイスイ録れたのは前述の通りだが、最終日の4曲というのは実はハードなものが集まった。2日目が4時半には終わってしまったから、3日目の分を少しでも録音しておくと楽だったかもしれないが、ここでそれをやったために3日目に声が出なくなったりすることもある。ペース配分は本人にしか出来ないことだが、それも全て賭けのような物だ。

ところでこの3日間は結構暑かった。ホールは空調の音が入らないように止めてしまうので、汗だく。家田さんもハッピを脱いだ棟梁みたいでかっこいい(笑)!後ろにいるマーチンの姿は実は超ひどい。家田さんには爆笑写真を撮られてしまっているし(笑)。それは後日公開だ。

楽屋には大量のバナナの他に、家田さんのファンの方から差し入れが!すばらしい!私のときなんて誰も差し入れなんてしてくれないよ。その中で「帝国ホテル」のフィナンシェはさすがにうまい!フィナンシェは最近よくもらうものだけど、何か中途半端なお菓子のようで好きじゃないのだが、これはうまかった!ありがとう、ごちそうさま!

というわけで、もう安心しちゃってゆっくりとおいしいものでも食べようかと思ったが、まあラーメン屋と飲み屋それもチェーン店風な店ばかりで、「静岡の人っておいしいものに興味ない?」みたいな駅周辺。ちょっとした店は席数がなかったり、妙に高そうな和食にはあまり興味もわかなかったので、あきらめてホテルのイタリアン「アルポルト静岡」に行く。有名シェフの西麻布の店の出店だし、期待が持てるかも?と思って行ったのだが、どうなのだろう?ホテルだし名前からしてこの値段は仕方がないとしても、いろいろギクシャクしていた。

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定番の生ハムメロン。甘みの強いメロンとの組み合わせはやはりうまいね。運ばれてきたとき「生ハムとパパイヤです」と言われたので聞き返したが、どうしてもパパイヤだと言う。どう食べても食感がメロンだったので、他のスタッフに聞いたところ「メロンですよ」と素っ気ない回答が帰ってきた。それって何?だよね。ベテラン女性スタッフもフォークを大きな音を立てて落としたりと粗相が多い。さらに年配のフロア・マネージャーが「本日はカネロニが出来ないので、手長海老の香草焼になります」と言っていたが、出来なかったのは「ホタテの焼物」のほうだったようで「カネロニ」は何の説明もなく登場する(笑)。もしかするとホテルの従業員ということで、このレストランのメニューをフロア・スタッフは食べたことがないのでは?そんな感じだ。

前菜は小さなものが3種類出された。桜海老を使ったものはソースが強すぎて今ひとつ。中ではこの「春野菜のテリーヌ」がおいしい。ちょっとフレンチのような味わい。続く「塩漬けされた牛肉のカルパッチョ」はさすがうまい!名前からするともっと強い味を連想させたが、まろやかで肉のうまみも充分。今回のこのメニューの中では一番おいしいものだった。

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見た目も美しい「カクテル」は赤ピーマンがベース、毛蟹等を贅沢にあしらって凝っている。バランス的に野菜の香りの強さは好みが分かれるところだと思ったし、これもフレンチ的な感じだ。スカンピはパルメザンチーズを使っての香草焼きだが、以前に京王プラザで戴いたものの方がずっとおいしかった。味付けよりも身そのものの味が劣化していたような気がする。続く「カネロニ」はうまい。これは問題の「作れないはずのメニュー」だったのだが、登場してくれてよかった。「ゴルゴンゾーラのペンネ」は大好きなメニュー。あえてメニューの変更をリクエストして入れてもらったのだが、ややしょっぱい。割とどこで食べてもおいしいと言うか、同じような味なのに主張が(笑)!!個人的には京王プラザみたいな感じの方が食べやすいし、やっぱり「サバティーニ・ディ・フィレンツェ」のものがおいしい。メインは「イベリコ豚のソテー」。最近はどこに行ってもイベリコ豚でマンネリ。おまけにメインで出てくるときは大抵こんな味で個性もない。カレー風味の臭いでごまかすのと同じで、一種「逃げ」のレパートリーのように思っているのだが、今回もそんな印象だった。8000円だがサービス料や税金が「込」なのは良心的。アラカルトで頼もうかとも迷ったのだが、逆に3品でもっと高くつくようだったのでやめた。いずれにしてもホテルは割高だ。家田さん曰く「酒も飲まずに食ってるヤツの気が知れない」というのも核心を突いたご意見(笑)。

a0041150_1423476.jpgデザートは平均的な味。それぞれおいしいと思ったがピスタチオのアイスクリームが一番好きだったかな。よく見ると皿は「ジノリ」で大きなチェリーが書かれている。なるほど!こんな支店でシェフが不在だったりすればこれは良い手だ。と思い感心した。フレンチのシェフは絵を描いてくれるけれど、やっぱりみんなそういうの好きだよね。それがぬくもり、味わいというものだ。

歌というのは最もそういう意味での温かみやぬくもり、人間的な味わいをぐっとダイレクトに伝えてくれる芸術だ。CDの場合も声の記録でもあるから、命の記録としてさらに生々しくて重々しいさも感じさせる。でも我々がCDを作るのは、記録ではなくチャレンジとしての取り組みだ。私たちの場合は演奏活動のプロモーションの意味合いが多くあり、宣伝し注目をしていただく良い機会にもなるからだ。だからこそ意欲もわくし、楽しいし気分も活性化される。大好きな仕事の1つだ。自分の演奏を録音して遺すということだけならば、果たして意味があるのだろうかとも思えてしまう。多くのファンの方が待っていてくださるのならば理想だが、自主出版の記録CDRみたいなものでは、ただの自己顕示欲、ただの思い出みたいな感じで、仮に無料で配られたとしても馬鹿馬鹿しい感じが滲んでしまう。自分のものはむしろ自己嫌悪のようなものがあるから。という「チャレンジ」だから、終わってからの疲労感は思ったよりもずっと大きく、そして心地よい。満足感も手伝って、帰りの新幹線ではグタッとなってしまったね(笑)。

a0041150_14111612.jpg意外に早く帰れたのでこの夜は焼肉屋に行ったが、打ち上げ中のサラリーマン達と遭遇してしまい、静かに味わえず余計に疲れてしまった。せっかくのおいしいものもこれでは悲しい。

なので、反省して翌日のお昼は天ぷらの「魚新」のカウンターで静かにおいしいもの食べようとでかける。でも小さな子供がいて相当うるさい。親はどうかしている。高級天ぷら店で夫婦でランチ天丼を2杯頼み、3人の子供に分けている。離乳食の赤ちゃんに天丼を食べさせるたびに大声で泣く。これじゃ怒るに怒れない。参ったな。私はカウンターでおいしいものを出す店でタバコを吸う人も大変配慮が足らないと思っている。が、乳飲み子を連れてくるのもちょっとおかしいように思う。そうは言っても世の中はゴールデンウィークだからね。これも仕方がないよ。

料理のほうは大変満足がいくもの。こちらはいつもの3800円のコースに、アラカルトで季節の稚鮎を戴く。たけのこもおいしいと勧められたが、ここは稚鮎だろう。いつもながら海老もおいしいし、ホタテの揚げ方も前回同様ふっくらとナマの感触を残して技あり。稚鮎ももちろん、苦味も上品でうまい。前回おいしかったサツマイモがなかったのはちょっと残念だが、とても満足!

「地方でおいしいものを食べられて良いね」と言われることも多いが、私は東京にいてくつろぐほうがずっと好きかもしれない。

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by masa-hilton | 2008-05-06 01:49 | 日々の出来事
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