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「ザ・クラリネット」にインタビュー記事掲載

a0041150_17112598.jpga0041150_1713010.jpgアルソ出版から出されている月刊誌(隔月)「ザ・クラリネット」の第21号(5月25日発売)にインタビュー記事が掲載されました。大変面白いので是非お読みくださいね。アルソ出版で通販もしているようです。

内容は赤坂達三さんの対談コーナー、レギュラーの連載で今回は第3回目。「赤坂達三・ウィズ・フレンズ」ということで、ソプラノの足立さつきさんと共に「スーパートリオ」としての対談。出会いや普段の性癖に至るまで、面白いものになりました。実は次号に続くとなっていますので、今回は前編です。素敵な仲間がいてその仲間もみんな一流で、仲良しでプライヴェートも仕事も楽しく出来るって最高ですね。それが自分の人生の誇りでもあるし喜びでもあります。

そういえば足立さつきさんは、12月8日紀尾井ホールでリサイタルをされます。まずはそのチラシの美しさに失神しました。そのうち告知をいたします!お楽しみに。
by masa-hilton | 2006-05-31 00:04 | ニュース

恩師に叱られる

その昔、今は亡き巨匠の園田高弘先生とご一緒にお食事をしていた時、レストランの支配人が「今ここに武蔵野音楽大学の●●先生と●●先生がちょうどいらしていまして、先生に是非ご挨拶をしたいそうですが。」と伝言をもって来ると、にわかに先生は機嫌が悪くなって曰く「そんなものには会わん!」とバッサリ。困ったような顔をして支配人が引き下がると先生はすぐ「斎藤君、本当にくだらんな!!」と大変真剣に言われたのだった。「いいかね、今日のこの日、この時間の食事というのはね、一生に1度しかないんだ!わかるかい?くだらんことに邪魔されてはいけないんだ!!」・・・・大体こんなニュアンスだったと思うが(笑)、さすがに大演奏家はすばらしい!まさにこの考え方は演奏にもつながると、すっかり敬服して「ご飯の神様と演奏の神様は同じかも?」等と思ってきちんと見習っている。

だからボクは食事は何よりも優先する。とても大事だと考えるようになった。それにもかかわらず昨日は色々と仕事がたまっていたり~の、まさに下らん雑用の処理もあって、朝ご飯を食べはぐったばかりか、そのあとはすぐリハーサルだったので、午後4時半まで何も食べずに終わった。間違いなく先生から大目玉を食らいそうな気がして、大慌てで走り出す。せめて豪勢に行きますか・・・何かおいしいものをはしごしたりとか・・・と思い日本橋へ。

a0041150_11384020.jpg結局、買い物の都合で日本橋高島屋の特別食堂にて「5代目野田岩」の鰻を食べる。野田岩といえばグルメ番組では「うなぎと言えば」で紹介される名店。そして池波正太郎が書いているのは、本店ではなくこの高島屋のほうであるのが面白い。しかし一言で言えば、ボクにとってすべてに物足らない味。柔らかいが、ここまで柔らかいと鰻の食する喜びがないほど。上品というのではなく「柔らかすぎ」のレベルに感じる。つまり天然物で油を全部落として焼くという粋な鰻なのでギトギト感が皆無。高いものをたのんだが、それほど大きいものでもなかった。写真も大きく見えるが、お吸い物のと比べれば・・・ね。

そもそも高島屋の特別食堂は、見渡すとお年寄りばかりなので、基準がお年寄り向けなのかもしれない。でもそれも失礼な話で、ボクの父は年寄り扱いされるのが何よりも嫌いだったから、きっとここに連れて来たらさぞ機嫌が悪くなるだろう等と考えていた。そんなわけで満足できないのは、こちらのギトギト大好きな嗜好のせいもあるので、これはそこそこ途中でやめて、今度は物産展のほうに行き山形のそばの店へはしご。これが(笑)・・・・生臭いつゆと生ぬるい蕎麦、茹で上がりも全く感心できないブヨっとした蕎麦で、いただけなかった。参りましたよ、大はずれ。あ~5000円が無駄に飛んだ気分のご飯。しかし野田岩のお新香は絶品だよ!あまり関係ないか?(笑)

でも蕎麦も嗜好が強い食べ物!これほど好みが別れるものはないので、そう思うのも私だけの問題かも。友人に連れて行かれて「うまいだろう?」と言われても、納得できないことが多い。私が好きなのは中野のさらしなだが、これだって人によるだろう。自分で試すしかない。先日も軽井沢で食べた蕎麦にがっかり。ホールの前だったので色々な演奏家の色紙が飾ってあって、こちらにも色紙を渡されたが隙を見て逃げて帰ってきた。「とてもおいしかった」等とマヌケな署名をここにのこせないぞ!と思ったのよ。でも考えてみると超くだらない。ちょっとつゆが薄いとか、蕎麦がジメッとしてたとか、そんなことだもんね。どうでもいいんだよ、本当は。「まあまあまあまあ・・・・」と人生はもう少し妥協して生きた方が絶対楽チンなはずだから。

というわけで高島屋は服関係のものはよく買うが、食のほうは三越かもしれないと思った昨日。ここまで来たんだから鰻は高嶋家に行くべきだったな。間違いなくこの近辺では1番うまいし、多少高くてもおいしいほうが良いのだ。まさに園田先生の怒声が聴こえてきた1日であった。そういえばチョコレートのジョセフ・シュミットが姿を消していた。三越のガルバニャーティに続き、誠にけしからん話だ。あの辺のデパートは我々よりも世代が上の方々がお客様だから、きっとお客が冒険しないのだね。受けた教育から考えても価値観も狭いだろうし、あまり個性のない無難なものばかりになっていく。ボクの親もそんな感じだった。それは仕方のないことなのだろうけど、試してみるのを怖がっていたら人生はモノクロームになるだけだろうに。
by masa-hilton | 2006-05-26 03:18 | 趣味&グルメ

NHK出演、大反響を戴き有難うございました!そして

NHK教育テレビの「親と子のテレビスクール」では皆様に喜んでいただきホッとしています。生放送と言うのは難しく、放送禁止用語等にも気を遣いつつ、a0041150_374078.jpgテンションが最初から上がっていないとあっという間に終わっていたみたいなことにもなりかねないので、良い意味での緊張感が走ります。また楽屋のTVでは現在のオンエアが映っているわけで、あと10分後にここに出るのかと思うのも、リアルな興奮を誘います。いいとも青年隊だった「あさりど」のお二人は非常に礼儀正しい好青年で、真剣そのものでした。また麻木久仁子さんは自然体で特別に何も気遣うことなく、それでいてすべての仕切りがうまく行くような、見事な司会ぶりで惚れ惚れ。もともと麻木ファンなので、ここにいるだけでゴキゲン!良いお仕事でした。神様に感謝!そして応援してくださった皆様にはもっともっと感謝しております。本当に有難うございました。HPアクセス数もパンク状態でした。

スタッフの方からも「この番組が今後再放送する機会があった場合は、絶対今回のをイチ押ししたい」とのお言葉!「まさに番組のタイトルに相応しい内容でした」と誉めていただきました。麻木さんからも「番組を楽しく有意義なものにすべく、心を込めて周到に準備してくださったことに感謝!」とメールを戴きました。皆さんからは「情熱的な姿が良かった」みたいな声が多かったですね。私たちは子供の頃から特殊な育ち方をして、やや頑なな人生を歩んでいます。その反動で色々だらしない部分もあったり、開放されすぎていて世間常識から逸脱している部分もあります。でもその人生そのものを楽しんでいるということは、自分をあきらめていないというわけで、その辺りが情熱的にも新鮮にも見えてくるのでしょう。そういう魅力を失わずにいられるように、また頑張っていきたいなと思っています。またよろしくです!

そして間髪をいれずにバリトンのガブリエル・ベルムデスさんが来日、彼は実は今回代役なのでご本人も心配なのか(笑)本番まで毎日リハーサルがあるのです。ん~普通は1回、多くても2回で充分なわけですから、信じられないって感じです。今日も彼は我家にやってきました(笑)。ウチで外来演奏家がリハをするのは、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラさん以来です。ベルムデスさんは素晴らしいバリトンでしたね、声も艶やかですがハートが伝わる感じ。現在30歳、顔はジローラモさんが若くなったような、髪の毛が復活したジダンのような・・・・サッカー選手のような感じの方です!ぜひぜひお楽しみにね。

私もそんなこんなで忙しく、一音も練習できずに臨んだリハーサルでしたが、昔よく弾いた曲は覚えているものです。弾き出せばすぐその世界へ・・・・何をイメージして何が大切かを瞬時に盛り込めてノープロブレム。とても楽しかったし良い感じ、やはり演奏するって最高だ。ただ「冬の旅」は失恋してふらふらしている最低男の心の内を、1時間以上かけてねちねちやるものですから(笑)、その心理描写を弾いているうちに馬鹿馬鹿しくなって来ることが、歌手によっては時々。おまけに聴き手にも「こう歌うべきだ」みたいなこという人も多いから「じゃあんたがやれば~」みたいな(笑)。さらに歌の曲としての難所もいっぱいあり、共感を得られるためには自分もそこに入り込まなきゃいけません。ちょっと面倒と言うか、タフじゃないと引きずられちゃうかもしれない曲なんです。でも今回はハートが熱い主人公の歌になっていますので、とても弾きやすいしおそらく聴きやすいはずです。よかった~!
by masa-hilton | 2006-05-23 03:48 | 日々の出来事

8月20日サクライ楽器主催リサイタル ほか

練馬のIMAホールでサクライ楽器の主催のリサイタルがあります。演奏曲目はともかく、一応子供さん向け子供OKのコンサートです。サクライ楽器のHPに告知されていますね。そんなこんなで超派手なチラシです(笑)。どうぞよろしくお願いいたします。

また前に告知しましたように、日は近くですが9月2日は藤沢でショパンプロのコンサートがあり、こちらの反響も大きいようです。
a0041150_811138.jpg

で、ごちゃごちゃしているのでこの後をまとめますと、26日は武蔵野市民文化会館でバリトンのガブリエル・ベルムデスとシューベルトの「冬の旅」。6月1日は鎌倉芸術館でベルリンフィル・トップ奏者によるアマルコルド・カルテット・ベルリンとのモーツァルト、11日は博多で公開レッスン、17日はカシマフィルハーモニーのファミリーコンサートで伊福部昭の協奏曲、27日は銀座の十字屋ホールで教養講座(笑)、7月7日は武蔵野市民文化会館でソプラノのアリーネ・クタン、8日には松山でソロサロンコンサート(また告知しますね)、20日は武蔵野市民文化会館でソプラノのカプチーネ・キアウダーニ・・・といったのが主なラインアップです。

ということは、まずはシューベルトとモーツァルトのピアノ四重奏曲からだな(笑)。ぐちゃぐちゃしていると準備し忘れたりするから、ここで告知をするのは自分のためでもあったりして。でもクローズのスーパートリオコンサートもあるので気をつけないと・・・ぐはは。

さ、それでは皆様とお目にかかれるのを楽しみにいたしております~。
by masa-hilton | 2006-05-20 02:55 | コンサート・イヴェント告知

レコーディング無事終了

a0041150_864094.jpga0041150_8105083.jpgアウトレットのお洒落な店、おいしい店、避暑地、別荘・・・等々、人も羨む軽井沢行脚。でも賑わっている場所以外はまるでゴーストタウン。何もないし人もいない。ボクは冷静だから、おいしい店・お洒落な店も東京に比べりゃ天と地にしか見えなかったり(笑)。まさにイメージだけの空虚な町。でもレコーディングのような集中仕事や合宿とかなら、種々雑音がシャットアウトされて最適。編曲もすらすら出来る。幸運なことに観光客との接点もなく、無事終わりましたレコーディング。ホールはとても良い響き。ピアノは使用頻度の低い問題でやや不安でしたが、それは日本でも実力ナンバーワン、スーパーチューナーのお一人花岡昌範氏に同行を願ったので問題なし!どんなピアノでもそこそこに弾けるのは当たり前だし、逆境においてもプロゆえに耐えなければならないのも当然す。でも吟味できるレコーディングは少しでも良い状態でしたいし、しなければ誠実とは言えないでしょう?花岡さんには他をキャンセルしてきてもらいました、お疲れ様です。すみません。

さてそんな恵まれた環境とスタッフに囲まれては、うまくいかないわけがありません(笑)。例によって一発録り(ワンテイク)のオンパレード。もともとボクのレコーディングは3日おさえてあったらa0041150_8334454.gifa0041150_8334454.gifa0041150_8334454.gif2日で録れるのが常だから珍しくはないけれど、やはり家田紀子さんは流石の実力で、粛々と20曲を2日で録る余裕ぶり。実に楽チンで夜も早く終わってしまい、ホテルでは退屈で死ぬかと思いました(笑)。毎晩オカルト映画を3本ずつ見ましたが、外国のオカルトってくだらないし(笑)。でも万事めでたしで終了。どうぞ皆様お楽しみになさって下さい。日本歌曲集ですが、アニメから民謡まで幅広い内容です。民謡の方はやや現代音楽調。もともと民謡は複雑な和声が似合うんですよ。アニメはジブリからは選ばず、深夜の萌え系(笑)から切なくかわいい曲を。こういうポップな曲は、他のクラシカルなものとのバランスが難しいですが、モダンな合唱曲の如くの美しい彩りに。

a0041150_882047.jpg自分の演奏を録音するというのは、とかく自己満足の追求になりかねません。自分が納得いくような深みや、さらには個性や考え方がはっきり出ていることは大事ですが、本来それは当たり前のことで前提条件なんです。最終的にはそれ以上に商品として、皆さんに喜んでいただけるわかりやすい内容になることを心がけていなければ、何のためのCDでしょう?研究発表の次元では痛すぎます(笑)。だから演奏者から見れば、事故がおきない限りフレッシュな一回録りがむしろ望ましいかも。ただCDを作るのは我々ではなくディレクターの仕事。映画で言えば我々は役者、ディレクターが監督なので、最終的なイメージや音楽性はディレクターの力量にかかるのです。ディレクターによっては、演奏の良し悪しに関らず何テイクも録りたがる人もいますよ。それが料理で言えば材料であるわけだから、やり方考え方はそれぞれで面白いです。

ボクはまず演奏し終わるとディレクターに「どう?」と聞きます。それで「とてもいいよ」と言われたら、自分で気に入らなくてもそれでOKにすることも多いんです。だってそのCDは自分が聴くものではなく、誰か他の人に聴いていただくものなんですから(笑)。まず人の意見が先行するのが当然です。それにはもちろん「そのディレクターが信用できるか?」ってことが重要ですよ。今回も何の心配もなくのびのび出来ました。本当に優秀なスタッフの方々に感謝しています。そういえばボクは昨年も同じホールとメンバーにお世話になったんだ。ホールの方も誉めてくださいましたが、前作も大変評判が良いです。ナミレコードの皆さん、有難うございました。
by masa-hilton | 2006-05-18 21:33 | 音楽・雑記

カプチーネ・キアウダーニさんのプログラム

武蔵野市民文化会館7月20日のソプラノのカプチーネ・キアウダーニさんの曲目が決定したようです。
見るとまた1曲ソロを弾くことになってますね(笑)。プッチーニのミニ・ワルツというのも面白そうすが、
たぶんドビュッシーの「水の反映」に変更すると思います。では、どうぞよろしくお願いいたします♪♪

TOKYO CONCERT: CAPUCINE CHIAUDANI , Soprano
             MASAHIRO SAITOH , Piano

G.DONIZETTI         Me voglio fa nà casa 私は家をつくりたい
R.HAHN            La barchetta 小さな舟
C.GUASTAVINO       La Rosa y el sauce バラと柳
C.GUASTAVINO       Se equivocò la paloma 鳩のあやまち
G.PUCCINI           Piccolo valzer: for piano solo 小さなワルツ
C.DEBUSSY          Beau soir 美しき夕べ
G.FAURE            Chanson d’amour 愛の歌
PUCCINI            O mio babbino caro (from Gianni Schicchi) 私のいとしいお父さん
F.CILEA            Vita breve 短い命
F.P.TOSTI           Malia 魅惑
PUCCINI            Donde lieta usci´ (from Boheme) ミミの別れ
F.CILEA            Invocazione: for piano sol インヴォカチオーネ(祈り)
GUASTALDON         Musica Proibita 禁じられた音楽
G.PUCCINI           Non la sospiri la nostra casetta (from Tosca)二人の愛の家
X.MONTSALVATGE     Canto negro 黒人の歌

by masa-hilton | 2006-05-16 00:04 | コンサート・イヴェント告知

休日は怒涛の鑑賞 その3

結構この鑑賞レポートが評判いいのです。ありがとうございます。さて今回はとても長くなりそうなので「です・ます」調では書けません(笑)。お許しを(笑)。

・・・晩年のホロヴィッツのライヴを聴く。晩年のホロヴィッツといえば83年に来日して不調だったために、吉田秀和ごときに「ひびの入った骨董」呼ばわれされてしまう。86年に再度来日した折に巨匠ならではの至芸を披露し、汚名をそそいだという経緯・・・天下の吉田大先生には失礼な言い方かもしれないが(笑)、ファンとしては怒っているのだ。私は83年6月11日のホロヴィッツを、前から5列目の中央席で聴き、様々なことを吸収し大きな感動を得た。人生最大のイベントだった。老巨匠がわざわざ目の前に出向いてくれたのである。不調だろうが何だろうが、魔法のような音の響きがあり、そこからは多種多様な「気」が充分に存在し、その存在そのものが文化である事に気付かずにいったいどうする。しかしホロヴィッツにとってはこの日本公演が生涯最悪の演奏会だったのは間違いないし、復活を遂げてくれたのはもちろんうれしいことだ。

その後しばらくステージを離れ、公式なコンサートは85年10月26日のパリ・シャンゼリゼから始まる。レパートリーも入れ替えられて、得意の小品が多いのもうれしい。ここから最後の公開演奏(87年)まで同傾向の曲を弾き続ける。このシャンゼリゼ公演にはツィメルマンやベロフも聴きに来ている。先日ピティナ主催の講座で、この日の印象をツィメルマンが「実質にはメゾフォルテの音量なのに、最大のフォルテに聴こえた」魔法について、もろもろ語ったらしい(先ほど知人がメールで教えてくれた)。そしてホロヴィッツはこのあとミラノ=スカラ座、ニューヨークと経て86年の4月20日にロシアの里帰り公演をモスクワで行う。この演奏はCDの他にDVDでも手に入る感動の1枚だ。特にアンコールのトロイメライが語り草になったが相変わらずのスカルラッティの雄弁さ、個性的なアイデアに満ちたモーツァルト、ウィーンの夜会のニュアンスのうまさも格別だ。この2日前にリハーサルのコンサートが行われていて、そちらの方がずっと上出来だったと記録されている。いつかこれもリリースされるだろう。

a0041150_555754.jpgScarlatti: Sonata K.87, K.380, K.135
Mozart: Sonata in C major, K.330
Rachmaninoff: Prelude Op.32 No.5, No.12
Scriabin: Etude Op.2 No.1, Op.8 No.12

Schubert: Impromptu ,Op.142 No.3
Liszt: Soirée de Vienne No.6
Liszt: Sonetto 104 del Petrarca
Chopin: Mazurka Op.30 No.4, Op.7 No.3
Chopin: Polonaise Op.53


Encores:
Schumann: Träumerei, Op.15 No.7
Moszkowski: Etincelles, Op.36 No.6
Rachmaninoff: Polka de W.R.


a0041150_57787.jpg4月27日にはレニングラードでリサイタル。このCDは海賊版で、誰かが客席で膝の上で録音したもの。その割にはまあ聴きやすい方だと思う。以前同じような状況で録音された1969年10月ボストンでの演奏会では、演奏は冴え渡っているが音質は買ってビックリのCDだった。今後も続々と登場するのだろうか?演奏家としては微妙である。こういうことをされては権利の問題も含めて人権侵害、まさに違法。でもホロヴィッツクラスであれば、こうして残っていることが世界遺産になるからね、どうしたものか。さて話を戻してレニングラードの方はスカルラッティとマズルカで曲が入れ替えられている。またモーツァルトをクライスレリアーナに変えて、演奏時間も長い。CDには全曲は入っていなかった。

Scarlatti: Sonata K.87, K.380, K.135
Schumann: Kreisleriana, Op.16
Scriabin: Etude Op.2 No.1, Op.8 No.12


Schubert: Impromptu Op.142 No.3
a0041150_5235660.jpgRachmaninoff: Prelude Op.32 No.5, No.12
Liszt: Soirée de Vienne No.6
Liszt: Sonetto 104 del Petrarca
Chopin: Mazurka Op.17 No.4, Op.7 No.3
Chopin: Polonaise Op.53


Encores
Schumann: Träumerei, Op.15 No.7
Moszkowski: Etincelles, Op.36 No.6
Rachmaninoff: Polka de W.R.


ホロヴィッツ自身はレニングラードの方が良い演奏だったようなことを言っているが、モスクワに比べると緊張感がない。そこが良いところでもあり、温かみは増している。ミスも調子に乗って勢い余ったような種類の感じだ。

a0041150_603477.jpg5月11日はドイツ・ハンブルグでリサイタル。若い頃チャイコフスキーの協奏曲を代役で弾いて一躍センセーションを起こした町がハンブルグ。今回のリサイタルでもアルゲリッチらが見守る中、奇跡のような成功を収めたとされている。調子も上がってきていたのだろう。それを証明するかのように、今回聴いた中で最も壮絶で、魅力に溢れていたベルリンのコンサートのライヴCDが存在した。5月18日に行われたベルリンライヴは、解釈や演奏的には他のコンサートとそれほど変わらないものだが、録音の音質が非常にシャープなせいもあり、かみそりのような切れ味の表現に聴こえて来るし、スケールも大きい。スクリャービンの8-12のエチュード等は特に良い出来である。得意のモシュコフスキーは冴えているだけでなく、音楽的な表現力でも情感が増しているように聴こえる。プログラムはレニングラードと一緒だが、アンコールのラフマニノフのポルカが、リストの忘れられたワルツに変更している。聴衆の熱狂ぶりも尋常じゃない。

そしていよいよ日本に来ることになるのだが、日本公演は3回。いずれも昭和音大の人見記念で、6月21日、28日、7月6日である。このうち21日と7月6日が基本的に同じプログラム、前述のハンブルグとベルリンでやった同じプログラムだから、各地で大成功を収めたあとの公演だった。CDは28日のもので別プログラム。

a0041150_620102.jpgScarlatti: Sonata K.87, K.380 , K.135
Mozart: Sonata K.330
Rachmaninoff: Prelude Op.32 No.5 No.12
Scriabin: Etude Op.8 No.12

Schumann: Arabeske Op.18
Liszt: Soirée de Vienne No.6
Liszt: Consolation No.3
Liszt: Valse Oubliée No.1
Chopin: Mazurka Op.30 No.4, Op.63 No.3
Chopin: Scherzo in B minor, Op.20

Encores:
Schubert: Moment Musical Op.94 No.3
Moszkowski: Etude in F major, Op.72 No.6


弾いてきたプログラムと変えたのは、東京公演に思い入れがあったせい?かもしれない。この演奏会はNHKFMでオンエアされている。よってエアチェックされ、音源を持っている方も多いことだろう。CDの方はアンコールが入っていないが、音質も多分NHKのものを転用していると思われるものなので、聴きやすい方だ。演奏自体はベルリンライヴの方がテンションが高く面白い。しかしこちらではシューマンのアラベスクが超名演。この曲はホロヴィッツが生涯を通して弾き続けた曲の1つだが、この演奏が私は1番気に入っている。テンポ運びといいニュアンスといい、全く神が降りてきたかのような味わいを持っている。昔は演奏効果が大して上がらない割りに長いので、自分は弾くことはないと思っていたが、こんな演奏を聴いてしまってはさらに恐れ多くて、気軽に弾けなくなる。素晴らしい演奏に感動のあまり「自分も弾いてみたい」とはしゃぐ大馬鹿者でないが、じっくり勉強してみたいと思っている。マズルカも63-3が入っていてこれもうれしい。

もう1点買って聴いたのがハンブルグのライヴ。実は店頭でよく見ないで、ベルリンリサイタルの前に行われたものかと思って購入したが、実際は1987年6月21日のもので、なんとホロヴィッツ生涯最後のステージのライヴだった。87年5月31日には映像でおなじみのウィーンでのリサイタルが行われている。よってプログラムはウィーンと同じものである。

a0041150_1112529.jpgMozart: Rondo K.485
Mozart: Sonata K.333
Schubert: Impromptu Op.90 No.3
Liszt: Soirée de Vienne No.6

Schumann: Kinderszenen, Op.15
Chopin: Mazurka Op.33 No.4
Chopin: Polonaise Op.53

Encores:
Liszt: Consolation No.3
Schubert: Moment Musical Op.94 No.3
Moszkowski: Etincelles, Op.36 No.6


CDの方はどうしたわけかモーツァルトソナタの途中からと、リスト、子供の情景、マズルカ、英雄、楽興の時、モシュコフスキーとなっている。最高に調子が良いとは言えないが、マズルカは絶品。最後のコンサートとなれば聴き手の思いも格別である。またこのCDは、音質自体がマイクが他のものより近いような感じで響きが異なって、やや丸みを帯びたようなものになっている。これが彼の演奏スタイル、解釈を別の側面から観察できる楽しみを与えてくれる。それは今回の鑑賞すべてに言えたことで、例えば解釈が全く同じであったとしても、その響きや聴こえ方によって、本質が浮き彫りにされるのである。それぞれの違いもまたストレートに楽しく、より激しくレンジの広いベルリンではホロヴィッツファンとしての欲求が満足させられ、東京では他のピアニストの収録と同じような響きと音色で聴けるため彼の特徴がより鮮明になり、ハンブルグでは本質的な音楽の温かみとタッチがいかに駿足に情感へ対応するかの見事さを堪能した。モスクワとレニングラードではその微妙な精神状態の違いによる音楽の構築の違いが楽しかった。ほぼ同じ時期の同じプログラムの集中したホロヴィッツ鑑賞は、私にとってよりピアノという楽器の可能性を深める素晴らしい体験になった。

a0041150_11295941.jpga0041150_11305512.jpg調子に乗った私はチェリビダッケの録音で今度は手痛い失敗をした。チェリビダッケの演奏で超名演ということで名高いリムスキー=コルサコフのシェエラザード。ミュンヘン・フィルとの伝説の演奏は、まさに地球が揺らぐような大きなスケールで演奏された大名演で、テンポも独創的で・・・というふれ込みだったのでぜひ聴いてみたかった。DGの方に早々に普及版でリリースされているものがあり、それぞれ評判が良かったので、気持ちも高まる。大抵こういう他人の評価はあてにならないのだが、今回はそれとは別の大きな過ちを犯した。もともとシェエラザードは大好きな曲だが、私はミーハーチックに匂うほどロマンティックな演奏が好きだったのだ。そういう意味ではチェリビダッケという人は、どんなに素晴らしくてもそっち系ではない。そっち系はいかにも映画音楽もどきにやってくれる指揮者じゃないとダメということだ(笑)。

a0041150_11475675.jpgそういえば以前SDRとのライヴ(1980年2月29日)を買って置いたので、こちらから聴いてみる。こちらは珍しくオケの状態がしまりがない感じで、気宇の大きな演奏にもかかわらずしっくり来なかった。やはり緻密な魅力がチェリビダッケの魔力の1つなので、それがやや揺らぐと感性にも響くのではないだろうか。で、ようやくミュンヘンとのライヴを買って聴くことが出来たのだが、これがまたピンと来ない感じ。ホロヴィッツの方に神経がとられたので、また次回改めて聴いてみようと、ケースにしまいながらよく見ると、何と!!!クレジットが1984年5月15日とある。これは!!!私が買おうとしていたのは84年4月18日のものだったのに。まちがえた~~~。でもこれはある意味海賊盤なので、価値はあるかもしれない。さあ、どうする。もう1枚買うのか?ちょっとその気は失せている。

さてチェリビダッケといえば、彼が伴奏にまわったジャクリーヌ・デュプレとのドヴォルザークの凄演も聴いたし、ミケランジェリとの素晴らしいライヴをまとめたものも手に入れたので、これはまた次回に。つづく。
by masa-hilton | 2006-05-15 12:46 | 休日は怒涛の鑑賞

カシマフィルハーモニーのポップスコンサート

a0041150_4511269.jpg6月の17日はカシマフィルハーモニー管弦楽団のポップスコンサートに出演いたします。市民オーケストラとの共演ですね。業界では「室内楽が得意な人は、アマチュアとの共演は苦手」というのが鉄則だとされていますが、楽しいコンサートならむしろプラスに働くのではないでしょうか?私はそう思っています。

このポップスコンサートはいつもは落語家さんとかタレントさんが司会でやっているようなのですが、今回は私がピアノと司会を拝命いたしました。指揮の小川さんとは初対面。クラリネットのソリストとして活躍なさっている方です。毎回何がしかのテーマがあるようですが、今回は「日本の作曲家」にスポットをあて邦人作品ばかり・・・・ま、アニメの主題歌も邦人作品、演歌も邦人作品ですから、堅苦しくない内容でお届けする感じですね。ちょっとした詳細はこちらです

私は下の方にあるゴジラへのオマージュというところが出番ですね。ゴジラのテーマの作曲家である伊福部先生を追悼してという意味合いもあります。その力技の協奏曲のあとは「なだそうそうピアノ協奏曲」・・・山本祐ノ介さんに創作をお願いしています。

そして茨城県ですね。秋には東海村でもファミリーコンサートがあります。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
by masa-hilton | 2006-05-12 05:08 | コンサート・イヴェント告知

食欲のない時は・・・・・家庭料理「采膳」

昨日は家田さんのレコーディングのための編曲をやっていて、それに結構手間取って何もできなかったばかりか、夕方から今日まで頭痛になってしまい、ヘロヘロ状態のままNHKの打ち合わせに行くという情けない状況でした。でも打ち合わせの方は充実!!番組も頑張りますね!レコーディングの詳細もまた告知します。

練習もそうですが編曲も、興がのってこないと出来ないという(時間が迫ってこないと出来ない?とも言う・笑)種類のもので、時間があればいつでもできるというものでもないところがネック。大抵は深夜に及ぶので、ボクの数々の編曲は、その数の分だけ頭痛があったのです(泣)。でも結構気に入った作品が出来ましたよ!ぜひお楽しみになさってください。残念ながら「おてもやん」は却下されました(笑)。

そんな風に体調が良くないと食欲もわかない。おまけに現在東京は梅雨のようにジメジメしていて、これがとても嫌なんです。マジメも嫌いですけど(笑)ジメジメからはもっと逃げられないし。我が家はクーラーを消さずいつも除湿状態なので、何とか生活が出来ますが、多湿はボクにとっては活動を妨げる最大の敵!やる気も失せるし体調も悪くなってしまう。そんなんで何を食べたらいいかもわからない時、ボクがフラフラ行ってしまうのが家庭料理の「采膳」です。

言ってみれば飲み屋さんなんですが、ご飯だけ食べに行ってもいい便利なお店。煮っころがし等のお惣菜と焼き魚&煮魚が飲み屋風にデーンと置かれていて、「これと、これと、これ」と選ぶ。お惣菜はどれもおいしいしアイデアいっぱい。定番のさばのミソ煮、カレイの煮たのがおいしい。あとお肉の生姜焼きも絶品。これを食べに遠くから来る人もいるらしい。「今日はお肉屋さんに良いのがなくてね・・・・」と言われる時もあるが、良いお肉であればgood!とても懐かしい味だ。豚丼もうまいね。しいたけ、ししとう、タマネギを炒めて乗せればフォアグラ丼みたいな味な感じなんだけど、おばちゃんは海苔を敷いちゃうから(笑)今のところは和風です。焼きそばとか時々あるうどんとかもうまい。おいしいお刺身は隣の焼鳥屋さん「鳥正」からデリバリー(笑)。a0041150_0512115.gif鳥正さんは鳥のモモヤキと牛すじ煮込みが有名なお店で、もちろん焼き鳥のデリバリーもOK!「采膳」にはランチもあり、メインに惣菜3品、海苔の佃煮とわさび漬けは食べ放題でこれがまたオツ!店先にはおとなしいワンちゃんもいます。この犬は女の人が大好きなので、ボクには軽い挨拶しかしてくれないが、茶々さんや直次郎さんにはベロベロしていました(笑)。

子供の頃、ナスを味噌であえたものやナスの味噌炒り?を母がしょっちゅう作っていて、ボクはそれが出てくるたびにゲンナリ、文句タラタラでした。とても嫌だったんですよ。でもこの「采膳」で同じように作ってあるナスが並んでいると、必ずそれを食べてしまうんですよね。歳なのか男のノスタルジーなのか・・・とても切なく、幸せな気持ちになります。

なんと言ってもメインはここのおばちゃまです。この方も人形町の顔!個性的!店の名前を言わなくても「ああ、まさちゃんとこね」で誰もが納得。存在感が大です。とてもあったかで、メニューにないカレーライスが出てきたり、スープを作ってくれたりと、相変わらずの人形町ならではの店。幸せな気持ちはもちろん料理のせいでもあるけれど、やっぱり人の心から発せられるものだなぁって感じです。川島女史も絶賛!今日も食欲がないのに、おなかいっぱい食べて帰ってきたところです。

そんなわけでやっと元気が出てきました。「明日の浜松は、これでウナギが食べられる」みたいな(笑)。
by masa-hilton | 2006-05-11 23:57 | 趣味&グルメ

モーツァルトのピアノ協奏曲第19番K.459   アルトゥール・シュナーベル

ここのブログでも「モーツァルトは普段聴かない」と言ったり、インタビューで「モーツァルトは嫌い」と言ってしまったりで、足立さつきさんに心配された(笑)。確かにモーツァルト・イヤー、世はモーツァルトばかりで、まさに稼ぎ時!大好きと言っていれば良いに決まってるが、それが出来ないのが私である。これぞフリーな強み!しかしモーツァルトを弾かないわけにいかないし当然好きな曲も数多くある。6月のベルリン・フィルの皆さんとのアンサンブルで選んだピアノ四重奏曲第1番はもちろん、ケーゲルシュタット・トリオ、ピアノ協奏曲の第19番は大のお気に入りだ。

この第19番は、第26番と同じくモーツァルト自身が「戴冠式」に演奏したものであるが、「戴冠式」の名前は死後出版された時に26番につけられてしまい、19番の方は一般に馴染み薄い曲に成り下がる。よって私はこの曲が一番弾きたいのだが、いつも集客を理由に却下されて、今までしぶしぶ13、14、21、24、27を弾いている(笑)。しかし私と同じく、この曲を愛してやまないと思われるのがクララ・ハスキルだ!彼女はライヴも含めてこの曲の録音を幾つも遺した。ハスキルのモーツァルトは神格化されていて、確かに表情豊かでありながらも凛とした名演。だが私は(この曲に限らず?)モーツァルトといえば断然シュナーベルなのである。

アルトゥール・シュナーベル(ARTUR SCHNABEL,1882~1951)は、晩年イギリスで活躍したこともあってそちら系だと思っている人も多いが、オーストリア領のリプニック(現ポーランド)に生まれたオーストリア人である。a0041150_024952.jpg一般には歴史的なベートーヴェンの解釈者、ベートーヴェンのピアノソナタと協奏曲全曲を史上初めて録音した人として知られている。当時としては即物的な解釈、情におぼれないという評価だったが、それは今の時代では全く当てはまらない。感情に任せてテンポはスパークしがちだし、解釈も含めてあちこちいい加減になっているし(笑)、テクニックもかなりあやしい。批評家の「ベートーヴェンも後期のものが優れている」等という意見に耳を貸さず、前期の生命力ある勢いのある曲の中に示した魅力を楽しみたい。個人的にはピアノソナタの第5番や、ロンド・ア・カプリッチョ「なくした小銭への怒り」の心浮き立つ快演がうれしい。

ところでモーツァルト信者や愛好家には怒られるが、私はモーツァルトの良い演奏に接した時、イタリア風なロッシーニ的気分を感じることがある。モーツァルトは旅を通じて各地の空気を吸収していたし、逆に彼の影響を各地に遺したということなのかもしれないが、イタリア風な情感は、彼の音楽が根っからの楽しさや音楽の喜びに満たされた時、そして器楽的ではない「歌」として演奏された時に発せられている。それは例外なくウィーンの人たちが演奏した時に限ってのことだ。誰もこんなことを言っていないが、私はシュナーベルがそんなウィーン的要素に溢れたピアニストだと思っている。モーツァルトにおけるシュナーベルはいつも陽気だ。例えばピアノ協奏曲第20番の両端楽章も明るく、悲劇的にならない。第23番の第3楽章では民族色豊かな独特なリズムを示したりもする。ウィーンフィルの人たちが持っているような良い意味での「いい加減さ」が生命力をあおる。そして緩徐楽章はことごとく遅い。かといってロマン派の様に弾いているわけでもなく深刻でもないので、まさに「歌」の様に弾いているのだ。この遅いテンポでの演奏は、実際にはとても難しいので、私たちにはとても勉強になるのだ。古い録音だが、きっと生ならば非常に味のある音と色彩で弾いているであろうことが、この第19番では十二分に感じられる。バッハをフルオケでやってしまうような大時代的なオケの前奏が終わると、弾く喜びに満たされたような自由なピアノが聴ける。終楽章のピアニスティックな自在な表情付けも楽しく、シュナーベルのモーツァルトには、現在に通じる粋があるとも思っている。モーツァルトのピアノソナタはギーゼキングの物が好きだが、シュナーベルが全曲録音していたら話は別である。この2人の演奏内容(志向)は全く異なるものなので比較は出来ないが。

a0041150_1542275.jpg余談だが←このCDのモーツァルトのピアノ協奏曲第23番では、調子に乗ったシュナーベルが第3楽章で思い切り暗譜を忘れて止まってしまう。譜面をパラリと見せてもらって再開、再開後はさらに調子に乗って(笑)弾き進む有名なもの。またカップリングの第24番のカデンツァも即興風なノリ。これもオーストリア(ウィーン)気質と思えば納得がいくし(笑)楽しい。

シュナーベルはシューマン等を弾いてもやはりウィーン的な味わいだし、当然シューベルトの小品や室内楽もうまく、注意深く聴くとその多彩な色合いが良くイメージできる。それはそうと石丸電気とかに行くと、彼のベートーヴェンの32曲のソナタが全曲、輸入盤10枚組ボックスで1600円ぐらいで売っている!買いましょう(笑)!


(後日談)この写真のCDではそのミスの部分は修正されてしまっているらしい。私はLPで持っているのだが、そうと聞けば、ぜひこの修正盤も聴いてみたいものである(笑)。
by masa-hilton | 2006-05-09 23:04 | 大ピアニストたち