人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ホルヘ・ボレ版、珍しいエディション

友人の木下さんから面白い楽譜があると聞いて見せてもらったのが、往年の大ピアニストであるホルヘ・ボレの版。さてコルトー版とかシュナーベルの版は有名だけど、これはまた聞き覚えのないものだ。そうはいってもクラウディオ・アラウだってペータース版の校訂をしているし、クララ・シューマンの版はウィルヘルム・ケンプが監修をしている。ピアニスト達はみんなそれぞれ何かしらの楽譜を遺しているものだ。
ホルヘ・ボレ版、珍しいエディション_a0041150_01074428.jpg
ボレットの版はそんなまじめなものではなく、言ってみればボレットの演奏を愛してやまないファンが、彼がどのように弾いたかを楽譜にしたものだった。ゆえに彼の演奏したレパートリーが、そのまま楽譜になっており、ショパンのプレリュードやリストのソナタ、小品が何冊かに分かれて収められている。
ホルヘ・ボレ版、珍しいエディション_a0041150_01075873.jpg
興味深いところももちろんあるが、もともと晩年のボレットはそこまで個性が強いわけでもないし、大体が演奏がまともだから面白いモノとは言えない。
ホルヘ・ボレ版、珍しいエディション_a0041150_01080737.jpg
ペダルはそういう風に踏んでいるのか、そこでルバートをかけているのか・・・・もともと聴けばわかるではないか(笑)。
ホルヘ・ボレ版、珍しいエディション_a0041150_01082088.jpg
ホルヘ・ボレ版、珍しいエディション_a0041150_01122828.jpg
ま、ファン向けのアイテムということだ。これならホロヴィッツ、ミケランジェリでやってくれる方が絶対面白い。しかしそれをやって何になるのか?とも思う。しかしこのフランソワのライヴなら、すさまじい楽譜ができることだろう(笑)。
ホルヘ・ボレ版、珍しいエディション_a0041150_01545233.jpg
新版でついに出た幻のフランソワのリストのソナタを聴いた。これこそ楽譜にすれば良いかもしれない。このライヴで最初に弾かれているシューマンの「交響的練習曲」は、リズムやテンポがパターンで崩されたありえない解釈。スタジオ録音も遺っていて同じような解釈なので、これはもうどうしようもない(笑)。フィナーレは暗譜が飛んで大きく崩壊、これはかなり苦しい感じとなっている。破綻は多いが強い気持で最後まで乗り切った感じだ。

マズルカはまた解釈が重く、ある意味音楽として破壊されている、特に20番。フランソワならもう少しセンス良く弾けたと思うのだが、これも謎だらけ。

リストのソナタは、今までフランソワから考えられなかったレパートリーだ。テンションは異常に高い。これでスタジオ録音すれば、かなりの名演が出来たのではないかとも思う。なぜかそれをしなかった。ここでのソナタは、ある意味「大崩壊を繰り返している」演奏だ。弾けるところは速く弾き、弾けないところは遅くなり・・・・という最悪のパターンを選び、ミスが多いとかを超え、グシャグシャのイメージである。しかし内容的にはデモーニッシュな強い意志を感じさせ、燃焼度の高さは他の類を見ない。

これだからフランソワは大好きだ。最近の演奏家には絶対いないタイプ。その音楽にダイレクトに魂を感じるから。これこそ演奏を楽しむ真髄である。

例えばシューマンの「交響的練習曲」は崩壊していても、それはたまたまであって、弾けていないわけではない。リストはテンポの扱いを考えても、弾ききれていない演奏ではなかったのか? スタジオ録音に至らなかったのはそんな理由かもしれないね。

by masa-hilton | 2019-09-08 00:42 | 休日は怒涛の鑑賞
<< 急告!今月の「ぶらあぼ」にイン... 最近よく行く「東京トンテキ」 >>