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名店「天ぷらの近藤」に行く

日本で最高の天麩羅店に数えられる銀座の「近藤」。その名人芸と素材への心配りに満ちた「おまかせ」を戴く。有名店であるということもあるが、普通は予約がとれない店。そして常連組は「毎週火曜日に来るから」みたいな形で、1年を通して予約していたりする。そのぐらいに頻繁に食べていたい、またエンドレスで食べ続けていても全くもたれることのない天麩羅だ。

銀座の一流店の味を目指すといえば、この「近藤名人」のことだ。そのスタイルを踏襲していても、アナゴがまるで唐揚げのように揚がっていたり、かき揚げの中身が半ナマだったりと、真似をしてはやはり真似。この本物を食べると、それらとは全く違う味わい持っているのに驚く。高級な天麩羅というのは、衣が羽のように軽く素材の味を生かしたものと考えられるが、「近藤」は軽くてもしっかりとした衣。やはりこれでなければ天麩羅ではない。本来は「中山」のようなテイスト、お惣菜のようにしっかり揚げてあるから天麩羅というのだと思う。お鮨が高級感を出すために、妙にご飯を小さくしてバランスを崩してしまうのと同じで、やはり天麩羅はしっかり揚がってこその天麩羅だろう。天つゆの癖のなさも良い。オーソドックスにおいしい天麩羅で、素材へのこだわりは遊び心のような技。素材に頼ってしまうような店ではつまらない。1度は食べに行って戴きたいお店だ。

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今日は名人ご本人に揚げて戴いた。そしておまかせ、それも常連に対してと普通の定食とはかなり差があるようだ。日本橋の店もそういうところが多いが、私はそういう店が好きだし楽しい。

まずは定番どおり海老の頭からだが、そのへんのものではない(笑)。パリパリとした内に身のしっとり感が残っている。続く海老2本は、普通に衣がカラッとして身がプリプリ・・・等というよりは、身の温度と衣の温度のバランスがすばらしいように思った。続くは特大のアスパラ!ちょっとビックリ(笑)。アスパラの天麩羅はもっと細身でも大丈夫なものかもしれない。

そして登場したのが名物というか、有名な「種も一緒に揚げるピーマン」。おいしい!これは最高だった!あとで聞いたら種も食べられる別の種類なんだそうだ。キスのあとの椎茸も絶品。臭くなく硬からず柔らか過ぎず、これもおいしくて大感激!

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熊本産のナスが続き、あおりイカの天麩羅は、当然のように中のほうは「レア」になっている。食べた感じはかなり「レア」な感触が強い。そして生まれて初めて食べた「ウニの天麩羅」!これは凄い!磯の香がツンと来る、ほろ甘い食感のすばらしいものだ。まさに「時価」という種類のものだろう(笑)が、その価値はあり!

食感さわやかな姫筍、こんがりとした味わいがまたおいしい玉ねぎ、加茂ナスの天麩羅は水分の抜けぐあいが絶妙。この辺の野菜はどれも好みとピッタリ。加茂ナスはたっぷりとお醤油をかけて食べるように言われたが、確かに天つゆでは味が染みない。

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コーンの天麩羅にはさらに驚いた。これがうまい!コーンの甘みが揚げたためにさらに香り豊かだ。結局コーンは豆粒だから天カスだらけということだが、これが全然もたれないしうまいのだ。この天カスをこれまた近くの名店「田中屋」の蕎麦にふりかけて、「たぬき蕎麦」で食べられたら最高に幸せだな~(笑)等と妄想。ソラマメの天麩羅もオツ。ホタテは写真だとわからないが、驚くほどの大きさ。貝殻は顔ぐらいあったかな?中がレアだが、これも大きいので天つゆでは無理。ワサビと塩で戴く。

ここまで細く切れるかという細切りのニンジンの天麩羅は上品。そしてしっかりとした味わいだ。これもとても気に入った。アナゴはしっかり揚がっているが、水分は飛んでいない。ちょうど良い加減でしつこくなくあっさりと戴ける。最後は天丼にしたが、これはどうだろう?一緒に行った人は天茶。これが今ひとつ苦手なので天丼にしたのだが、天丼はやはり「中山」のような「お江戸系」の濃い味が好きなので、ここではかき揚げも流れで戴き、白いご飯に赤だしを戴くほうが、私にはベスト。

全てに共通する最大の特徴がもう1つ、どれも湯気が立っているのだ。湯気が立っている天麩羅というのはあるようでない。ほのかな湯気ではなくモクモクと立ち上っているのだから。つまり揚げたてで熱いとかじゃなくて(笑)、中の食材の水分はちゃんと残して揚げているということだ。さすがに名人の技と言うべきところだろう。

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ここまでおいしくてもネット上で絶賛されているとは限らない(笑)。つまらない店が絶賛されていたりもするだろう。そしてこんな名人でさえ「そういうものは見ないようにしている」とは(笑)。舞台に立つ身はみな同じだが、人の好みは様々であてにならないし、人の話題になることがまず重要な仕事。身をすり減らすように仕事をして、ウワサにもならないのはむしろ悲しいことだ。「近藤」はお休みの日、お客さんが逆に近藤名人を旅行に招待したりして、感謝を込めて接待しているのだという。そんな温かな常連の人たちのために、こうして良い仕事が出来る人生は本当にステキだ。こうありたいと思う。

ご覧のように、かなりの量を出していただきラッキーだった!「まるで石焼きイモを手で割ったような」名物のサツマイモの天麩羅も超凄いのだが、さすがにおなかいっぱいでパス。これはまた次回の楽しみに。
by masa-hilton | 2008-06-19 01:34 | 趣味&グルメ
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