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悩ましきは その2

前もマリア・カラスの大全集が出たときに少し書いたが、世の中大全集ブーム、すなわちボックスもののブームといわんばかりにまとまったものが頻繁に出始めた。

その中で悩ましいほど気になるのが、大好きなピアニスト、ハンガリーのジョルジ・シフラのスタジオ録音大全集だ。シフラは本当にすばらしいピアニストだ。日本では曲芸師のように言われて評価が低かったが、千歩ぐらい譲って曲芸師的な側面があったとしても、それはとてもアイデアに満ちている。何よりも聴き手をここまでワクワクさせる名手は他にいない。強力エンジンをふかしまくるスーパー・カー(←え?古い?)のようなスリリングな演奏は、もちろん人間離れした技巧によるものだけれど、歌心も横溢!良いメロディのツボも良く心得ている。すばらしい音楽的なセンスに裏打ちされていればこそだ。私は高校生ぐらいのときからずっと大好きだったんだけれど、当時はみんな批判的で。頭が硬いんだね~とても残念。

悩ましきは その2_a0041150_2502018.jpgそんなシフラだから、ライヴのおもしろさは群を抜く。時として気が乗らないような、ものすごく平凡な演奏をすることもある。またとてもオーソドックスなこともあるので、当然スタジオ録音はやや押さえ気味な風情。さすがに大暴走はしない。そうは言っても、充実したものから面白いものまで色々あり、息子のジュニア(指揮者)との共演はテンポが遅かったり、優しい心遣いもあったりしちゃう(笑)。でもやっぱり大暴走するシフラが聴きたい。

ちなみに40枚組。1万円ちょい。超安い!安すぎる!これで迷う必要もないんだけれど、もう既に30枚近くは持っているからね(笑)どうしようね。その30枚だってレコード時代から考えると、何回買いなおしているかわからない(笑)。リストのハンガリア狂詩曲の全集2種は誰よりも面白いし、超絶技巧練習曲もソナタも大好き。さらにフィリップス原盤も含むから、あのルイサダが「奇跡のような演奏」と賞したショパンの協奏曲(ローゼンタール盤)や魔術のようなショパンエチュード、リストのタランテラ等の小品も含まれる。また謝肉祭の別録音やプライヴェート録音等もはいっている。やっぱりはずせないか。多分買うことになるから、前の30枚はまた誰か欲しい人にあげることになる。最近そんなことばかりで悩ましいぞ、大全集。
by masa-hilton | 2008-08-25 03:00 | 音楽・雑記
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